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賃貸リフォームを、東京都八王子から。

たった2畳でいい。子育て中でも自分を取り戻す、大人のための「ヌック(おこもり空間)」の作り方

空間づくり

「家の中に、自分の居場所がない」 ふと、そう感じることはありませんか?
リビングは子どものおもちゃに占領され、ダイニングテーブルは食事と洗濯物に埋もれている。
寝室はただ寝るだけの場所。
子育ては幸せな時間ですが、常に「親」という役割を求められ続け、ふと一人になりたい瞬間に、逃げ込める場所がないのが現実です。
そんな子育て世代の間で今、静かなブームになっているのが「ヌック(Nook)」です。
書斎のような立派な個室はいりません。
必要なのは、たった2畳(約1坪)。
今回は、リノベーションで叶える、大人のための「小さなおこもり空間」の作り方をご紹介します。

そもそも「ヌック」とは? 書斎との違い

「ヌック(Nook)」とは、スコットランド語の「Neuk(隅っこ)」を語源とする言葉で、「こぢんまりとした居心地の良い囲まれた空間」を指します。
「書斎」が仕事や作業をするための機能的な場所だとすれば、「ヌック」は何もしないための場所、あるいは好きなことだけに没頭するための場所です。
好きな本を読む。
淹れたてのコーヒーを飲む。
スマホで推しの動画を見る。
ただ、ぼーっとする。
ドアを閉め切る完全な個室ではなく、リビングや廊下の一角にある「ゆるやかなおこもり感」が特徴です。

なぜ「2畳」なのか? 狭さが生む心理的効果

「せっかくリフォームするなら広い方がいいのでは?」と思われるかもしれませんが、ヌックに関しては狭さこそが正義です。
1. 胎内のような安心感
広すぎる空間は、無意識のうちに周囲を警戒させるため、実はリラックスしにくいと言われています。一方で、身体が包まれるような適度な狭さは、母親の胎内にいるような本能的な安心感を与えてくれます。
2. コックピット効果
手の届く範囲に全てがある「2畳」というサイズ感は、自分だけの基地(コックピット)のような高揚感を生みます。
3. 家の隙間で作れる現実的なサイズ
2畳であれば、わざわざ増築しなくても、今の家の「デッドスペース」を活用して作ることができます。コストを抑えつつ、満足度の高い空間を作れる最適なサイズなのです。

家具やコンセントに安心ガどこに作る? リノベで作れる「3つのヌック」

それでは、実際に日本の住宅事情に合わせて、どのような場所にヌックを作れるのか。
リフォームのプロが提案する3つのアイデアをご紹介します。
1. 【階段下ヌック】デッドスペースが秘密基地に
最もポピュラーで、かつ効果的なのが「階段下」の活用です。
通常は掃除機や季節家電の収納として使われがちな階段下ですが、収納にしておくにはもったいないほどの「おこもり感」があります。
作り方: 扉をつけず、壁紙(クロス)をあえてリビングとは違うアクセントカラーにします。小さな照明と造作ベンチを設置すれば、まるでハリー・ポッターの世界のような秘密基地が完成します。
2. 【窓辺ヌック】出窓を拡張した特等席
リビングや寝室の「窓際」も狙い目です。
窓の前の床を少し上げて(小上がりにして)、ベンチのように座れるスペースを作ります。
作り方: クッション性の高いマットを敷き、壁の両サイドに本棚を造作します。自然光を浴びながら読書やお昼寝ができる、家の中で一番贅沢なサンルームのような空間になります。
3. 【リビングの一角ヌック】家族を感じながら一人になれる
「子どもがまだ小さくて、別室にこもるのは心配」という方におすすめなのが、リビングの一角をゆるく仕切る方法です。
作り方: 部屋の角(コーナー)に、R(曲線)の下がり壁(垂れ壁)を作って空間をゾーニングします。床の素材を変えたり、一段上げたりするだけで、「ここからは私の場所」という結界が生まれます。視線は遮りつつ、子どもの声や気配は感じられるため、育児中でも罪悪感なくリラックスできます。

大人のヌックに欠かせない「3種の神器」

ただ狭いスペースを作るだけでは、物置になってしまいます。
「居心地の良いヌック」にするために、リノベーションで必ず取り入れるべき3つの要素があります。
1. 調光できる「あたたかい照明」
天井の蛍光灯はNGです。
壁付けのブラケットライトや、足元を照らす間接照明など、「少し暗め」に設定できる照明計画が必須です。
暖色系の明かりは、副交感神経を優位にし、短時間でも深いリラックス効果をもたらします。
2. 手触りのいい「素材感」
壁の3面が体に近いため、素材の質感がダイレクトに伝わります。
一部だけ木張りにする、漆喰(しっくい)を塗る、あるいはウィリアム・モリスのような柄のクロスを貼るなど、「触れたくなる・見ていたくなる素材」を選びましょう。
3. 専用の「コンセントと棚」
スマホの充電、アロマディフューザー、コーヒーウォーマー。
これらを使うためのコンセントは必須です。
また、飲みかけのカップや読みかけの本を置ける、小さなニッチ(壁のくぼみ収納)があると、床に物を置かずに済み、快適性が格段に上がります。

結論:それは「逃げ場所」ではなく「充電場所」

「自分のためだけにスペースを使うなんて、贅沢ではないか?」 真面目な親御さんほど、そう躊躇されるかもしれません。
しかし、親が笑顔でいることは、子どもにとって何よりの栄養です。
イライラして爆発してしまう前に、ヌックというシェルターに5分だけ避難する。
好きな音楽を聴いて、深呼吸をして、自分を取り戻してからリビングに戻る。
そのための2畳は、決して無駄な贅沢ではありません。
家族全員が心地よく暮らすための、心のインフラ投資です。
今の家の間取り図を見てみてください。
「ここ、使えるかも?」という隙間はありませんか?
廊下の突き当たり、収納の奥、リビングの隅っこ。そこは、あなただけの特別な席になる可能性を秘めています。

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